鹿児島県の南西に浮かぶ、奄美群島のひとつ・沖永良部島。
隆起サンゴ礁でできています。
土壌は石灰岩質で水はけがよく、さとうきびや田芋、じゃがいも、マンゴーといった南国の恵みが、まるで島そのものの豊かさを映すかのように育っています。
さらに、沖永良部は“花の島”としても知られています。特に春になると、島を象徴する「えらぶゆり」が一面に咲き誇り、白くやわらかな花々が風に揺れる景色は、まるで別世界。四季を通じて咲く花々は、訪れる人の心を優しくほどいてくれます。
そんな自然の恵みに包まれて生まれるのが、沖永良部島の黒糖焼酎。
ミネラル豊かな水と、太陽をたっぷり浴びた黒糖から生まれる焼酎は、軽やかでいて奥深く、どこか島の人のようにあたたかさを感じさせます。
この焼酎の味を支えているのが、昭和44年に設立された沖永良部酒造さん。共同瓶詰会社さんで、島内の4つの蔵元(内東蔵・沖酒造・竿田酒造・神崎産業)が手を取り合ってブレンド技術を磨き上げ、「軽快でソフトな飲み口」を追求しています。
講座で味わった代表銘柄「稲乃露」は、常圧蒸留ならではのコクと甘さが心地よく、1年以上の熟成がその味にまろやかさを添えてくれていました。
一方、「はなとり」は減圧蒸留によって軽やかに仕上がり、久米島の深層海洋水を使った割り水が、まるで潮風のような爽やかさを口の中に広げてくれました。
德田社長のお話で特に心に残ったのは、沖永良部島がかつて琉球王国の一部であり、その文化や言葉、味覚に今もその名残が息づいているということ。
なんと、「稲乃露」も元々は泡盛だったそうです。
同じ奄美群島の中でも、島によって文化も味わいも異なる——その違いが、黒糖焼酎の奥深さにつながっているのだと知り、ますます惹かれました。
次はぜひ、この沖永良部島を実際に訪れてみたい。
花咲く道をゆっくり歩き、海を眺めながら、黒糖焼酎を味わう。
そんな贅沢な島時間を、この手で、舌で、心で感じてみたいと思います。
「稲乃露」は、
・TWSC2023 金賞
・Kura Master 2023 黒糖部門〈プラチナ賞〉&「審査員賞」(最高位)
「はなとり」は、
・TWSC2025 金賞受賞
詳細はこちら: https://www.inenotsuyu.com/



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