昨日は、60年間、戦火をくぐり抜けて守られてきた黒麹を使った「奇跡の泡盛造り」のお話を書きました。
今回は、もうひとつ伝えられている「奇跡の泡盛」の物語をご紹介します。
太平洋戦争の沖縄戦では、首里を中心に集まっていた酒蔵は壊滅し、泡盛造りの道具も蔵も失われました。さらに、泡盛の命ともいえる黒麹菌さえ消え去ったと考えられていました。
しかし、戦後の焼け跡から思いがけない発見がありました。
麹造りに使われていた古い「ござ」の繊維に、奇跡的に黒麹菌が生き残っていたのです。
その一握りの菌をもとに研究者や蔵元たちは培養を重ね、泡盛造りを再び取り戻しました。
焼け焦げたござに宿り続けた黒麹菌。
そこから甦った泡盛は、沖縄の人々の誇りと底力を象徴する存在となり、今に受け継がれています。

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